＜現代の大相撲の源流＞相撲節会（すまいのせちえ）ジオラマ
12020年1月2日東京国際フォーラムで開催されたJ-CULTURE FEST／にっぽん・和心・初詣の『平安宮廷スポーツスタジアム』より。
相撲については、「古事記」や「日本書紀」にもその記載が見られ、垂仁天皇の時代に野見宿禰と当麻蹶速が相撲を取ったされる伝承が最も古い記録とされています。奈良時代には、宮中でも相撲が行われるようになったと考えられ、聖武天皇の神亀５年（728）には、天皇が諸国に相撲人を推挙させて、対抗相撲を行っています。天平６年（734）年7月7日には、聖武天皇天覧の相撲が行われ、これをきっかけに平安時代初期の弘仁年間（810～824）には相撲節会として恒例化しました。弓の技術を披露する射礼、馬上で弓矢を用いて行う騎射と合わせ、相撲節会は宮中の「三度節」とされました。宮中では7月に行われることが恒例で、特に平安初期までは7月7日の七夕の行事の一環として行われていましたが、平城上皇が7月7日に崩御したことから、それを忌み、その後は7月16日に節会の期日が変更されました。
相撲は、もともとその年の豊凶を占う神事として始まったともされ、宮中においては七夕行事の余興的な位置付けであったと考えられていますが、後には管轄が兵部省へ移管されるなど、武力訓練の様相が強まりました。節会の開催にあたっては相撲司が組織され、近衛府や兵衛府の武官に加え、諸国に命じて相撲人が集められました。節会では、20組40名（時代により異なる）が左右に分かれて相撲をとりました。相撲の様子は現在とは異なり、立ち合いは立ったままで、両者の息を合わせて取り組みが始まりました。勝負に勝つと勝った近衛の側から舞人が出場し、弓を用いた立会舞を披露しました。なお、この頃には行事にあたる役はおらず、進行係にあたる「立会」が、左近衛・右近衛からそれぞれ２名出場しました。結果の判定がつかないときは、公卿らによる協議が行われ、最終的には天皇が決したといわれています。
平安時代の末期には、御所の度重なる焼失や戦乱の多発などにより中絶し、その後一時的に再開されたものの、高倉天皇の承安４年（1174）を最後に行われなくなりました。相撲はその後、各地の神社における神事相撲、武士の鍛錬として武家相撲、さらに今日に続く民間の勧進相撲として受け継がれてゆき、現在の大相撲の源流となりました。