零~紅い蝶~ ~俺の心が激写する~ Part4
【ゲーム概要、プロローグ】※物語、簡単な攻略法などは極力黙っててね
双子の姉妹、澪と繭は、幼い頃の数年間を過ごした故郷にやって来た。
二人にとって秘密の場所だったこの沢は、夏休みが終わるとダムの底に沈んでしまう。
けだるい木漏れ日に光る水、しっとりと湿る森の空気。
あのころと何もかもが変わっていない。
ちょっと歩きづらそうにしている繭を見ながら、澪は心配そうに声を掛ける。
「足、大丈夫? 」
「ちょっとね…でも、平気」
一つの記憶。
いつもの澤で遊んでいた二人は、夕暮れの山道を急いでいる。
体の弱い繭は、澪の名を呼びながら懸命についてきている。
「早くしないと、おいて行くよー!」
足の遅い姉を半ばからかうように、ときおり繭のほうを振り向きながら走る澪。
短い悲鳴、何かが滑り落ちる音…
澪が振り返ると、夕暮れの山道には誰の姿もない。
「…おねえちゃん?」
道の脇の崖下をゆっくりと覗きこみながら鼓動は高まって行く。
そして、大きく見開かれる澪の目…
"あのとき私がお姉ちゃんを待っていたら、今も一緒に走れたのに…"
回想にまどろむ澪が、ふと顔を上げると、繭の姿が消えている。
あたりを見まわす澪が見つけたのは、ぼんやりと光る紅い蝶を追って
森の奥に入っていく繭の姿だった。
蝶に導かれるように森の中を走る繭。その後姿が、白い着物の女性に重なっていく。
繭を追いかける澪は、いつのまにか霧にけぶる山道に一人立っていた。
風に乗って聞こえてくる、悲しげな歌声。木々の間から垣間見える、灯りの列。
澪は、その祭りの列が集まる場所へと、誘われるように歩み出す。
鬱蒼とした森がひらけると、あれほどいた人の気配はなく、
ただ一人、繭が立ちつくしているだけだった。
「…お姉ちゃん?」
ゆっくりと振り返る繭。紅い蝶たちが一斉に舞い立つ。
「地図から…消えた村…」
二人の前には、霧に包まれた薄暗い村が広がっていた…
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