
「アトリエ」シリーズ25周年記念作品としてソフィーが主人公に再起用された理由とは?『ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~』開発者インタビュー
コーエーテクモゲームスのガストブランドが手がけるRPG「アトリエ」シリーズ。そのシリーズ最新作にして25周年記念作品となる『ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~』が、東京ゲームショウ2021 オンラインで電撃的に発表された。
JAPSでは、ガストブランド長と本作のプロデューサーを務める細井順三氏にインタビューを行った。シリーズにおける本作の位置づけや、ターン制コマンドバトルを採用した理由などが明らかになっている。
ソフィー抜擢の理由は?過去作の新作を望むファンからの声も影響
――「ソフィー」の「2」が出ると聞いて驚きました。25周年を記念する「アトリエ」シリーズ最新作としてソフィー以外の選択肢もあったと思いますが、彼女が選ばれた理由は何でしょうか?
元々、ソフィーは人気キャラクター投票やグッズ展開においても非常に人気の高いキャラクターだったことがひとつの理由としてあります。加えて、シリーズ初の主人公続投になった「ライザのアトリエ2」を多くの方に楽しんでいただけたこともあり、今回、人気のあるソフィーを主人公として再登場させることにしました。また、「ルルアのアトリエ ~アーランドの錬金術士4~」の反響も影響しています。「ルルアのアトリエ」は1つの世界観を描くのは3作品までという従来の「アトリエ」シリーズの流れを覆す作品でもありました。「ソフィーのアトリエ2」も「アトリエ」の「不思議」シリーズとしては4作目となります。
これは「ルルアのアトリエ」のときもそうだったのですが、「アトリエ」シリーズの可能性を広げたかったんです。拡張性とも言えますが、シリーズを展開していくうえで、ファンの皆様につねに驚きを提供していきたいと考えているんです。実際に同一世界観で4作目になった「ルルアのアトリエ」をプレイした方から、過去作の新作を望む声も多くいただいていましたので、そこに「ライザのアトリエ2」で好評だった主人公続投を組み合わせたのが「ソフィーのアトリエ2」です。
▲シリーズ25周年記念作品となる「ソフィーのアトリエ2」。
――細井さんは2020年4月にガストブランド長に就任されましたが、本作の開発はいつごろスタートしたのでしょうか?
本格的に動き出したのは、「ライザのアトリエ2」で主人公続投に対するユーザーの皆様の反響があってからでしたので2020年の夏ごろです。やっぱり「ライザのアトリエ2」の反響が大きかったことは、25周年記念タイトルとしてソフィーの新たな物語を描こうと決意する大きな後押しになりました。
――2020年の4月といえば、新型コロナウイルス感染症が日本でも流行したタイミングです。ガストブランドの開発にも影響があったと思いますがいかがでしょうか?
影響は大いにありましたが、全社的に取り組んだおかげでリモートワークを早期に実現できたと思います。開発を進めるうえではポジティブになった面もあり、リモートワークの導入でさまざまな働き方が可能になりました。会社に行って働く「出社」の形式にこだわらなくて良くなった結果、自宅でも仕事ができるようになり、よりプライベートと仕事の両立がしやすくなったと思います。プライベートに様々な事情があるけれど「ゲームを作りたい」という意欲があるスタッフのためにそうしたリモートワークでの開発環境を整えられたのは純粋にポジティブなことですね。
――細井さんがリモートワークで苦労した部分はなんでしょうか?
コミュニケーションの純度ですね。具体的には、チームにいるひとりひとりの、作品に対する「熱量」や「情熱」を知るのが難しくなりました。やはり、対面のほうが表情や仕草がわかりますし、そうしたものから読みとれる雰囲気や情報は圧倒的に多いので、リモートワークの画面越しでは削ぎ落とされてしまう部分があるのも事実です。ただ、人によって適切なコミュニケーション方法が変わってくるという観点は大切ですね。たとえば、チームによっては対面では1時間で済むミーティングを、あえて1時間30分にして雑談を促したりもしています。
本作のテーマ、そしてキャラクターたちについて
――本作のテーマは何でしょうか?
端的に言うと「始まりと継承」です。本作は「ソフィーのアトリエ」と「フィリスのアトリエ」の間の物語ですが、“エピソードゼロ”に近しいタイトルで、「不思議」シリーズの起点となる物語を描いています。なぜソフィーが錬金術士になったのか、というところにつながる部分がさまざまな登場人物とのつながりを通して描かれていきます。
――本作の前に「ソフィーのアトリエ」をプレイしていることは必須でしょうか? ほかにもプレイしておいたほうがいい作品があれば教えてください。
本作から「アトリエ」デビューをしていただいても、まったく問題ありません。むしろ、本作を起点にしてほかの「不思議」シリーズ作品に入っていただけるような内容にしています。「ソフィーのアトリエ」をプレイしていなくても、「ソフィーのアトリエ2」のゲーム内に前作のダイジェストムービーを入れていますので、そちらであらすじを把握できるようになっています。
――本作の主要キャラクター4名が発表されました。ソフィーの相棒のプラフタですが、今回は同じ「プラフタ」を名乗る少女が登場します。少女プラフタはどのようにしてソフィーと関わるのでしょうか?
ソフィーはひょんなことから、本作の舞台となる「エルデ=ヴィーゲ」に迷い込みます。そこで出会うのが少女プラフタですね。少女プラフタはソフィーの捜すプラフタではありませんが、同じ錬金術士として手を貸してくれます。2人はエルデ=ヴィーゲでの相棒的な関係となり、錬金術を互いに教え合って成長していきます。
ソフィーの相棒のプラフタ。夢幻世界「エルデ=ヴィーゲ」で出会う少女プラフタ。
――新キャラクター「ラミゼル・エルレンマイヤー」についてお尋ねします。エルデ=ヴィーゲで頼りにされている錬金術士のようですが、その実力はどの程度なのでしょうか?印象としてはソフィーより強いように見えます。
意外なことに、錬金術士としての実力はソフィーのほうが上です。ラミゼルは要領のいいタイプで、任せられる人がいれば任せる性格です。錬金術ならソフィーのほうが得意だからソフィーに任せて、自分は別の部分を頑張るキャラクターですね。ラミゼルにはラミゼルの目的があって、それを達成するために研鑽を積んでいきます。ソフィー、少女プラフタ、ラミゼルの3人の錬金術士はお互いに高め合っていく関係ですね。ラミゼルはバトルで心強い存在になるでしょうし、シンプルに「強い」と言っておきます。
ラミゼルには彼女なりの目的があるようだ。漫画的な表現も取り入れて、さらに豊かになったキャラクター表現
――本作のためにソフィーたちの3Dモデルを一新したとお聞きしました。3Dモデル制作において、とくに気をつけていることは何でしょうか?
キャラクターデザインを担当されているイラストレーターさんがもつ、独特の味や雰囲気のようなものを3Dモデルにも残すようにしています。そうして制作した3Dモデルが、ゲームの中でグラフィックとしてきちんと映えるのかが重要です。
キャラクターデザインは開発陣からイラストレーターさんにオーダーを出すこともあれば、逆にイラストレーターさんからの提案でデザインが変わることもあります。お互いに綿密に話し合って作り上げていくイメージです。本作では前作「ソフィーのアトリエ」の雰囲気を残しつつ、新しいソフィーたちの姿を表現できたと感じています。
――キャラクターの感情表現が豊かになっていて驚きました。顔の表情や手の動かし方を含めると、まったく同じといえるものはないように思います。
今回、もっとも力を入れた部分です。過去作と比較しても表情パターンが大幅に増えました。これまでは、漫画的な表現は多く入れないことをシリーズのルールとしていましたが、「ルルアのアトリエ」でも好評だったことを受け、本作はあえてそのルールを破っています。キャラクターがメインになっている最近のゲームを分析した結果、やはりキャラクターの表情や仕草をより魅力的に魅せることが求められていると感じたからです。イベントシーンのカメラワークに関しても、映画やアニメを大いに参考にしています。
一新された3Dモデルにより、キャラクターの感情表現が繊細に。
――公開されたスクリーンショットによると、砂漠や草原をはじめ、宇宙空間のような幻想的なロケーションが紹介されています。フィールドのグラフィックについては、どのようなところにこだわりましたか?
いちばん意識したのは幻想的な世界であることです。プレイヤーがその場所を訪れた瞬間「ファンタジーだ」と思ってもらえるようにしました。雨が降るシーンでは霧がかかるようになっていて、全体的に淡いライティングを心がけましたね。「夏」をテーマに、コントラストの強いハッキリとした陰影のグラフィックを追求した「ライザのアトリエ」や「ライザのアトリエ2」とは、また違った幻想的なグラフィックになっていると思います。
淡いライティングで幻想的な世界を表現。とにかくテンポのよさを目指したバトル
――フィールドで敵に触れるとその場で戦闘が始まるシームレスバトルが導入されました。何のためにシームレスバトルを採用したのでしょうか?
リアルタイム制とアクション要素を排した、ターン制のコマンドバトルを実現するためです。いわゆるJRPGはターン制バトルが現代にそぐわないと言われることもありますが、最新の技術を活かしてテンポのいいターン制バトルの実現に挑戦したい気持ちがありました。シームレスバトルが実現できなければ、「ソフィーのアトリエ2」はターン制のコマンドバトルにはならなかったと思います。開発初期に決めたシームレスからのターン制コマンドバトルは、本作の根幹をなす部分の1つですね。
エンカウントからロードを挟まず移行するシームレスバトルを導入。
――2人のキャラクターがガンガンスキルなどを使っていける「ツインアクション」も特徴的ですね。
ツインアクションも、テンポのいいバトルを実現するためのものです。ある程度決まった順番で行動を選んでいくターン制は、1戦を終えるまでにどうしても時間がかかります。1回の行動で2つのスキルを発動できたり、2つのアイテムを使えたりするツインアクションこそが、テンポのいい爽快なバトルを成立させています。
もちろんツインアクションはいつでも使えるわけではありません。「TP」と呼ばれる専用のポイントを消費します。仲間への攻撃を代わりに受ける「サポートガード」でもTPを使います。逆に言うとTPさえあれば、プレイヤーの好きなタイミングでツインアクションやサポートガードを発動できます。ターン制バトルのテンポや、攻守のダイナミックさをプレイヤーに委ねるバトルシステムになっています。
少女プラフタのスキルは見かけに反して豪快。攻撃スキルを連続で叩き込めるツインアクションも存在するバトル。
――いわゆる必殺技にあたる「デュアルトリガー」についてはいかがでしょうか。2人のキャラクターによるカットインは迫力がありました。
『ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~』パッケージイラスト。
『ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~』は、PS4/Nintendo Switch向けに2022年2月24日、PC(Steam)向けに2022年2月25日に発売予定。価格は通常版が8580円(税込)。JAPS では本作の試遊レポートが掲載中。そちらもチェックしてほしい。
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※掲載されている画面写真は開発中のPlayStationⓇ4版のものです。
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