wizardry 囚われし魂の迷宮#22「伝説のワイン」

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「事実だけを簡単に言うぞ。俺たちは今も世界の均衡を守る守護者だ。それは、お前らも同じ立場にある」
「予想を上回り、お前らの成長が早くてな・・・こっちも、少し後手後手になっちまったんだが。それを含めて、今後の話をするための話し合いが、これから行われると思ってくれ」
ペチカたちの顔を見渡し、同意が得られたと確認し、話は続く。
「まぁ、バロンの話は終わっているみたいだし、ノーザンライトとソランに関しても問題はないので後回しにするが」と前置きを置き、「当面の問題は、ペチカと火鉈・妃翳だ」
そう言われた3人は少なからず心当たりがあるのか、顔色に不安を覗かせた。
「大丈夫だ。仲間を信じな」とぼるたくが、ペチカの肩に手を置いた。
「このままPTの知名度が上がれば、おそらくディメント王国とクォパティ法制院及びホウライと外交上のトラブルが起きる可能性が高い。下手すれば、戦争にもなりかねん。」
そう言われて「まさか!」という顔をソランとライトがする。
バロンは、その可能性の理由を考えているようだった。
「ま、それを何とかしようって話で、ドン・レオがディメント6世に話を付けにきている」
「詳しい話し合いは、その報告を待ってからになる。ここまでは、いいか?」と確認をとる。
ペチカたちが無言で頷くと、「みんな入ってくれ」とぼるたくが言うとドアが開いた。
マリアが嬉しそうに手を小さく振りながら顔を出すと、ぼるたくPTの残り5人が中庭に出てきた。
「ペチカは俺とJP、火鉈・妃翳はオレアンダとエメラル。ソランは、ヴェス。バロンとノーザンライトは、トリニッチと個別面談な!」と号令がかかる。
いきなり色々な話をすると混乱するから事前に、各々が抱える問題を整理しておこうという配慮であった。
ぼるたくの号令で、各自が個別の部屋へと別れていく。
話し合いが行われている最中、マリアが各部屋を走り回る。
食事や飲み物を運びながら個々の部屋から指示を受け、各部屋へ情報を届けている。
話の進み具合や状況によって、情報を共有していく。
個別に分かれた配慮は個人の都合を話しやすい状況を作り、各提督がその個人の都合がPTに不都合を与えるものかをそれとなく探っていく。
話し合いは夕刻まで続き疲労の色が見えてきたが、次はまた全体での話し合いに戻る。
食堂へ移動すると、これからパーティでも行うような食事が用意されていた。
深刻な話し合いが続く中、まるでそれが終わったかのような風景であった。
それに、用意された座席が多すぎるのだ。
正面に長テーブルが置かれ、その対面にも同様の長テーブル。
それらの後方には、6人掛けの丸テーブルが8卓用意され、豪華な食事が乗っていた。
ぼるたくに指示され、丸テーブルを背にする長テーブルにペチカたちは着席する。
全体を見渡せる正面の長テーブルに、ぼるたくら6人が座った。
全員が着席すると、扉がノックされる。
扉が開きマリアに手を引かれて、高齢であろうと見て取れるヒューマンの男性が出てきた。
マリアが椅子を引き、その白髪の老人は正面の長テーブル中央に座った。
その両隣にぼるたくとJPが座っており、何やら羊皮紙を指さして話をしている。
初初の老人がウンウンと頷くき、羊皮紙を丸めて正面を向く。

一瞬の静寂が食堂を包み、白髪の老人が両手をテーブルにつき立ち上がる。
「初めましてになるかな?連合艦隊「パトリオット」の総指揮官「レオ」です」。
丁寧で涼やかな声で、優し気な笑顔を見せた。
続いて、ペチカたちも名乗り挨拶を交わす。
「急な話で驚きの連続でしょうが、外交上の問題が生じる前に対策を講じなくてはいけない状況が迫っています。心穏やかに、その判断をしてください。」
そう言って、レオは着席した。
それに続き、ぼるたくが立ち上がり全体での話し合いが始まった。
「まず、これから予想される状況を説明する」
「まずは、ペチカ。彼女はクパティ法制院領ドワーフ王国の正当な王位継承を持ち、秘宝ドワーヴェン・ウェポンを所持する女王候補であります」。
ぼるたくの言葉に、火鉈たち5人が驚く。
「ペチカが、王女様ぁ!!」
ガタッと椅子を鳴らすが、ぼるたくが一喝する。
「悪いが、驚くのはあとにしてくれ。時間が惜しい」。
そう言われ、椅子に座りなおした。
改めて、ぼるたくがペチカに対する問題点を上げていく。
現状ドワーフ国には現政権が機能しており、本国ではペチカの一族は秘宝を持ち出した犯罪者と扱われていること。
実際のところはかのゴブリン戦争の折に、王家の軍団が分断された期を狙って対抗派閥がクーデターを起こしたことが発端である。
戦争が終結してやっと本国へ戻れるという時には、すでに新しい国王が誕生しており犯罪者として追われる立場になっていた。
多くの兵を失っていた前王は、一族の存続を選びディメント王国へ亡命してきたのだ。
その時、航路を使って手助けをしたのがパトリオット船団だったという。
ペチカの存在が明らかになれば、クパティ法制院がペチカを追って来ることが予想されるのである。
「予想できるクォパティ法制院の動きを説明する」
ペチカたちを動揺させないように、ゆっくりと優しい口調でぼるたくが話を続けた。
「まず、ドワーフ王の現政権は、客観的に見ても良好に機能している」
クォパティ法制院も現政権を暫定政権として認めていて、関係も良好と見ていい。
「暫定?400年以上も、かの国は公式な国として認められていないなんて、どうしてそんなことに」
ノーザンライトが、もっともな疑問を投げかけた。
「1つめは、前王から正式に継承が行われていないこと。規約による結果なんだが、前王が死亡していない場合、前王の立会いのもと継承式が行われていなければならいんだ」
「今では亡命という言い方をしているが、当時はまだ3大国家は正式に樹立されていなかったし、初代ダルア皇帝がアザルス大陸を統一からずっと戦乱続きだったしな。一時期は正式な政権として認められたあったが、3大国家が成立してからディメント王国にドワーフの流入が続いてな。前ドワーフ王の存在が疑われ、ディメント王国に対して真偽を求めてきたが、初代ディメント王がそれを認めてしまっているんだ」
それからは政治的な駆け引きと、おとなの事情って奴で今に至るとぼるたくが説明した。
「2つめは、単純にドワーヴェン・ウェポンの存在だ」
ドワーフの秘宝「ドワーヴェン・ウェポン」そのものが象徴であり、純血のドワーフがそれを持てば、それが王の証となるということだった。

大地震以降閉ざされていた交易路の復旧に伴い、ペチカとドワーヴェン・ウェポンの噂話はクォパティ法制院に伝わったという情報が入り、クォパティ法制院がディメント王国対して何らかの動きを始めるのは時間の問題だということらしい。
ディメント5世の不在から6世が暫定で王位についているが、問題なのは5世の持つ護符も手元にないことだった。
この事態により、ディメント6世は公式には王位継承を認められていない。
この情報がクォパティ法制院にあるとするならば、ドワーフ族の内政にも関わらず関与してくることが容易に予想された。
現在のアザルス大陸は圧倒的にハーサント連邦が抜きに出ている状態なのだが、クォパティ法制院とディメント王国とのにらみ合いで一応のバランスを保っていた。
それゆえに、ディメント王国を手中にしても、クォパティ法制院1国でハーサント連邦と対峙できるとも言い難いことは彼の国もわかってはいるはずであった。
だがこの機に乗じて、ディメント王国の経済力と産業を取り込めば一気に力をつけることができる。
ドワーフ族が受けている龍族の加護で防衛面では堅固であるものの、豊富な資源と加工技術を持ってしても、その他では2国よりも劣っているクォパティ法制院にとっては絶好の機会ともいえた。
「ま。つーこで、ちょっとまずい状況になりつつあるんだ」と、ぼるたくが語った。
一介の冒険者にとって、国家間の問題に唖然とするメンバーに、ペチカは下を向くしかなかった。
「クォパティ法制院に龍の加護があると同様に、ディメント王国には我々が盟約により洋上を守護している」
ぼるたくが、話を続けた。
「5世との盟約で同盟関係にあるが、やはり問題なのは5世が不在であることと、6世への政権交代だ」
「政治体系としては6世が手腕を振るっているが、我々は6世と盟約を交わしていない。そのために、6世のために船団が動かせない。ここまでの話は、理解できたか?」
ぼるたくの問いに、ペチカたちが頷く。
「んじゃま、ペチカの話はとりあえずここまでだ。次に、火鉈と妃翳の話だ。こっちは、エメラルから頼む」
ひと仕事終えたとばかりにぼるたくが座ると、エメラルが立ち上がった。

「このままぼるたくが、全部しゃべってくれれば済むものを・・・」
「私も面倒な話はしたくない。」
迷惑そうな顔をしながら、エメラルが話し始める。
「このふたりに、ホウライから刺客が送られている」
その話に、火鉈と妃翳が反応する。

ふたりが生まれたホウライの国は四九の組織が中心に仕えており、四十九院のなかでも零から九院までは各武門の筆頭であり家名にそれを名乗っている。
九院一族は忍者一族の総本家ではないが、「裏」と呼ばれる実行部隊としては最強の軍団であった。
その長は一子相伝であり、双子として生まれてしまった火鉈と妃翳は、次の嫡子が生まれるまで幽閉されていたのだ。
嫡子が生まれた時、ふたりの処断が決定されたが、協力者が現れふたりを逃がすことに成功していた。
「そして、彼方たちの所在もバレたよ。彼方たちは、どうするつもり?」
いきなりエメラルが、ペチカたちに投げかける。
「おいおい、それじゃ可哀そうだろ」
オレアンダがあきれ顔で口を挟み、細かい話を補足する。
一族の掟により、嫡子以外の血族は抹殺される。
簡単に言うと、そういうことだった。
それに対し、ペチカが即答する。
「守るでちよ?」
ガタッっと椅子を鳴らし、火鉈が立ち上がって大きな声をあげた。
「ペチカ!お前はすぐそうやって、簡単に!。奴らは一族が滅ぶまで、刺客を送ってくるんだぞ。
「最後まで守るのが、仲間でち。状況は関係ないでちよ。何か、間違っているでちか?」
変わらずペチカは、即答する。
「やっぱり、そうなりますか・・・」と、バロンが大きなため息を吐く。
そんなバロンの肩をポンポンと諦めろと言わんばかりに、ノーザンライトが叩き。
そんな仲間を、ソランが笑って見ていた。
「あなた達は・・・本当に・・・・」
目に涙をあふれさせながら、妃翳が震えていた。

そんな感動に浸るのは後だと言わんばかりに、エメラルが口を開く。
「彼方たち6人がいかに強かろうが、忍者は甘くない。それは、ふたりがよくわかっているでしょう」
その言葉に、火鉈と妃翳は反論できずに歯を食いしばるしかなかった。
「エメラル、話が進まないし、厳しすぎるでしょうに」
拉致があかないと、再びオレアンダが横やりを入れる。
「九院だけじゃなくて、四十九院には、似たような境遇で逃げ切った奴はいるんだぜ?知っているか?なぁ、九院エメラルさんよ」

その言葉にエメラルが反応し、オレアンダの襟首を締め上げるが、オレアンダはその手を振りほどき話を続けた。
「恥ずかしいって歳でもないでしょう。可愛い弟と妹でしょうに。」
その言葉に、火鉈と妃翳が絶句した。

元々守護者の血を引いたものは、特定の純血を特性として遺伝する傾向にあった。
また、異例ではあるが、守護者の転生という特異も現象として確認されたいた。
殆どヒューマン族しかいないホウライにおいて、エメラルはノームとして生まれてしまったのだ。
他種族が生まれてしまった事実は即日に隠蔽され、生まれて数時間後に、エメラルは冬の海に捨てられたのだった。




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