
『ボス、ブラインド、ブランデー』ブラインドの向こうに見えたのは実地型イベントの醍醐味だった!?【BitSummit THE 8th BIT】
勝ちセリフは「これでおよしよ、そんなに強くないのに」で決まり!?
『重機VS焼売』(2017)、『箱だけのブルース』(2018)など、奇想天外なシチュエーションとシュールなデバイスのシナジー効果で唯一無二のゲーム体験を提供するWataru Nakano。『シュココーココ』(2016)、『伝説の剣』(2019)など、“一風変わったコントローラーを操作する楽しさ”に特化した体験型ゲームを制作するMIYAZAWORKS。過去開催のBitsummit会場を華やかに彩っていた異色デベロッパーがタッグを組み、“Wataru Nakano × MIYAZAWORKS”名義で制作したのが、『ボス、ブラインド、ブランデー』です。
手にとったブランデーグラスをクルクルと回してパワーを溜め、ブラインドを指で押して目からビーム発射。ライバルの体力を先に奪ったほうが勝ちのふたり対戦ゲーム……という説明だけでは何が何やらですが、デバイスを目の前にし、実際に触れてみると、制作者がプレイヤーに何を体験させたかったかが一瞬で理解できます。昭和世代であればかつての人気刑事ドラマ、そこそこ若ければお笑い芸人のモノマネでおなじみの“ボス”の、定番ルーティンです!
ブランデーグラス・デバイス(実際にはプラスチック製のワイングラス)の中には、飲むとおいしい液体ではなく、水平方向の回転を検知するセンサーが。細かく回すよりも遠心力を意識して大きめにグラインドさせるほうが、パワーが溜まりやすい。
目の前のブラインド・デバイスの真ん中あたりのスラットを押し下げると、溜めたパワーを消費して攻撃できる。押したときの“ペコッ”という感触が、かなり気持ちいい。押しているあいだは相手の体力をどんどん奪えるが、調子に乗っていると痛恨のカウンター攻撃を食らうことも。残りパワーに気をつけつつ、スラットの押しどき、離しどきを見極めるのが勝利のカギだ。
オンラインでは成立しようがないゲーム性へのこだわり
本作の企画・原案はWataru Nakano。自身のアイデアを実現するため、特殊コントローラー制作のエキスパートであるMIYAZAWORKSに話を持ち掛けたのが、今回のコラボの発端とのことです。当初は「ブランデーグラスを回し、ブラインドを覗く」というギミックしか決まっておらず、試行錯誤した結果、対戦型ゲームに落ち着いたそうですが……なぜそこで落ち着くのか謎です(笑)。
じつは本作は、1年前には完成していたとのこと。昨年のBitsummitで披露する予定でしたが、コロナ禍の影響によりBitsummitが完全オンラインイベント化したことで、発表する機会を長らく逸していたそうです。商品として流通させることを度外視し、空間を同じくするプレイヤーを楽しませることに特化したゲームデザインだからこその弊害ではありますが、それだけに、本作をプレイしたことで、実地型イベントがいかに貴重な機会であるかをストレートに実感できました。
『ボス、ブラインド、ブランデー』ブラインドの向こうに見えたのは実地型イベントの醍醐味だった!?【BitSummit THE 8th BIT】