【DDLC】『ドキドキ文芸部プラス!』ローカライズのこだわりをPLAYISMと“DDLC翻訳部”に聞く。ファンを大切にしたいとの思いから非公式翻訳チームを採用

【DDLC】『ドキドキ文芸部プラス!』ローカライズのこだわりをPLAYISMと“DDLC翻訳部”に聞く。ファンを大切にしたいとの思いから非公式翻訳チームを採用

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2021年10月7日に、PLAYISMよりNintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4リリースされたウワサの恋愛アドベンチャー『ドキドキ文芸部プラス!』(Xbox One版とPC版は『Doki Doki Literature Club Plus!』として、Serenity Forgeより配信中)。

 本作は、PCの無料ゲームとして2017年にリリースされ好評を集めた『ドキドキ文芸部』に、6つのサイドストーリーや音楽再生機能など、“プラス”の要素が加えられた完全版となっている。

 本作で興味深いのが、日本語版完成にいたるまでのなりたち。本作はPC版『ドキドキ文芸部!』がリリースされた段階では日本語ローカライズはされておらず、有志で構成された“DDLC翻訳部”が非公式日本語化パッチを制作。日本のゲームファンにはそれがすっかりおなじみとなっていた。

 今回家庭用ゲーム機版の制作にあたって、PLAYISMは“非公式日本語化パッチ”を採用し、それをもとにローカライズを進めることとなった。家庭用ゲーム機向けでは珍しい“非公式日本語化パッチ”が公式に採用された理由とは? そして、そもそも難易度が高いと思われる『ドキドキ文芸部!』のローカライズはいかにして成し遂げられたのか。PLAYISMと“DDLC翻訳部”に聞いた。

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――今回PLAYISMはどのような経緯で、『ドキドキ文芸部!』の日本語版に携わることになったのですか?

PLAYISM『ドキドキ文芸部!』のグローバルの販売を手掛けられているSerenity Forgeさんと以前より懇意にしており、「新作でこういうの出す予定で、アジア販売協力パートナー探してるんだけど、興味ある?」とご連絡いただき、そこに飛びついた形になります。

――コンシューマーで“DDLC翻訳部”による非公式日本語化パッチが採用されたのは、インディ―ゲームでも珍しい事例だと思いますが、あえて独自翻訳ではなく非公式翻訳チームを採用したのはなぜですか?

PLAYISM開発のTeam Salvatoさんはファンベースをたいへん大切にしており、それを活かしたいという想いが強かったのだと思います。日本で本作が有名になったのも、非公式翻訳のおかげですし。

――具体的にどこまでが非公式翻訳として採用されているのでしょうか。チェックや修正なども、極力非公式翻訳を活かした形になるのですか?

PLAYISM本作が好きな方はこの非公式翻訳にも思い入れがあろうかと思いましたので、キャラ付け、性格や口調などは基本そのまま活かし、そのキャラ付け、方向性をより活かすために言葉を調整、整理したり、当然明らかに間違えてる文法などは直したり……をしました。大体半分くらいはそのままだとは思います。

――翻訳部の方にお聞きしたいのですが、まずはどのような経緯でPC非公式パッチを作成しようと思ったのか。作成中の裏話や苦労した点などがあったら教えてください。

翻訳部言い出しっぺのProudustです。非公式日本語化パッチの製作は最初、友人にプレイして貰いたくてひとりで始めました。それが大勢の人に協力していただいて、こんな素晴らしい訳になるとは思いもよりませんでしたね。

 製作で苦労した点と言えば、やはり“Just Monika”の翻訳でしょうか。シンプルゆえに解釈の幅が広いのと、すでに海外ミームになっていたのであえてそのままにしようという案もあり、かれこれ1ヵ月くらい議論していました。最終的には「原文のシンプルさと解釈の余地をできる限り残そう」ということで“モニカだけ”という非公式訳に決まりました。10月7日発売の日本語パッケージ版『ドキドキ文芸部プラス!』は非公式訳をベースにPLAYISMさん、RiotlocさんとSerenity Forgeの監修とサポートが入るということで、どのような訳になるのか乞うご期待です!

このゲームを日本人が作ったとしたら、何て書くのだろうとひたすら考える

――PLAYISMは海外の作品をよく翻訳されて販売されていますが、通常はどのような形で翻訳やチェックを行っているのか教えてください。

PLAYISM通常は、ファミリアライズ→下訳→プルーフリーディング(LQA)→デバッグ(実機確認)となります。

 ファミリアライズとはゲームを深く理解することであり、遊ぶことももちろん含まれてきます。なぜか軽く見られがちな工程ですが、この工程がなくなると恐ろしいことに、“どんなゲームかあんまりよく知らないが、日本語にしてみる”ということになり、“最後ゲームに入れたら意味不明なゲーム”になります。

 並行してキャラクターごとの個性とか口調などのルールを決めていきます。英語で“I”は、日本語だと私・わたし・アタシ・アタイ・俺・ボク・ワシ・ワイ・ワテ・おいどん・それがし……とさまざまな表現があるので、ルールの方向性を最初に決める必要があります。ここは女性っぽく、ここはロボットっぽく、などなど。

 あとは技術的に装飾効果などのタグをどのように使ってるのかとか、主人公が男女選べるゲームだと男言葉と女言葉は切り替えられるのかとか、このテキストボックスに文字制限はないのかとか、そういう確認を最初につぶさにします。

 その後、翻訳をスタートします。英語のテストをしているわけではないので、一言一句漏らさず訳す必要はまったくもってないのですが、誤訳があるといちばんきついので、何が書かれてかれているか、どうそれを過不足なく日本語として伝えていただくのが重要となります。

 一度で完成テキストに近しいものを挙げていただけると助かるのですが、分量が多いタイトルでは、最終全体をまとめ上げていく作業が必要になったりもしますので、編集作業も含めて確認のプルーフリーディングを行います。いわゆる編集作業というようなイメージでしょうか。徹底的にブラッシュアップをし続けます。ここでは当然英語力よりも日本語力が試されます。

 最後は実際にゲームに入れてプレイします。プレイする中で、“何となく気持ち悪い”、“何となく意味がわからない”、という違和感をひとつずつつぶし続けます。割とここからが本番となるケースが多く、1回2回、ときには5回6回、場合によっては10回以上と延々とちょっと表現を変えたビルドを何度も遊んで最後どうするか苦しみ続けます。

――海外作品の翻訳を行ううえで、ふだん意識していることや苦労していることを教えてください。そしてそれは『ドキドキ文芸部プラス!』にも反映されていますか? それとも今回は、新たな取り組みなどが多かったのでしょうか?

PLAYISM基本的には、このゲームを日本人が作ったとしたら、何て書くんだろうというのをひたすら考えています。あとは、その該当テキストが果たす役割とニュアンスですね。笑わせたいのか、しんみりさせたいのか、泣かせたいのか、はたまたゲームシステムをわからせたいのか。究極、原文は置いとおいて、「ここで表示されるテキストに求められる日本語って、何がふさわしいんだろう?」ということを考えます。

 今回は海外産とはいえ、日本の学校を舞台にしていますので、生きている女の子の感じをどれだけ出せるかというのが肝だと思いました。英語をそのまま訳していくと、「合っているんだけど、絶対若い女の子がそうは言わないよね」という感じになるので、自然なセリフにすることを心がけています。また、いわゆる美少女ゲームがベースになっていますので、冒頭、かわいい幼なじみがぐいぐい来るところなど、できるだけそういうノリを出そうとしました。成功してると嬉しいです。

 あとは、ファン翻訳をベースにすることはこれまでもあったのですが、ファン翻訳の方の想いもあるでしょうし、このテキストになった経緯もあるでしょうし、それがこれまでどう受け入れられてきたのかということもあるでしょうし……ということで、どこまで手を加えていいのか、加えちゃいけないのかというラインが支給されたテキストだけでは不明瞭でしたので、ファン翻訳部の方にコンタクトを取り、確認をしつつ進めたというのが、いつもとは違う異例の部分でした。

詩の翻訳はパズルを解いているような気分

――プラス版では新たな要素が加わっていますが、そこも非公式翻訳を手掛けられた方の翻訳なのでしょうか?

PLAYISMそこはまた別ですね。Riotlocという会社が手掛けられており、私どもがRiotlocさんと協力しながら、最後に日本を含むアジアで売るために調整をしております。

――Steam版の配信を受けて、ローカライズに対するユーザーさんの反響で、印象的だったフィードバックを教えてください。また、そのフィードバックを受けて、アップデートやコンソール版への対応などは予定していますでしょうか?

PLAYISM6月30日にSteam版が配信されたのですが、「とにもかくにも、10月7日の公式アジア版を楽しみにしている」とおっしゃっていただいている方がちらほらと見受けられまして、プレッシャーがすごかったです。あのバージョンは一部我々が手を加えたところもあり、そうでないところもありだったのですが、何に引っかかったかというのをユーザーさんの反響を見つつ、調整しております。あとは、“Just Monika”へのこだわりがすごくあるんだなというのを、やはり感じました。

 いただいたご意見は、公式アジア版に反映させていただきます。そもそも、我々自身が本作の大ファンなので、関われただけで満足しています。ひとりでも多くの人にこの作品をプレイして驚いてもらえれば、万感の想いです。

――いわゆる“ポエム”の部分の翻訳について、原語とはどうしても変えざるを得ない部分をどう訳しましたか?

PLAYISM詩の翻訳自体は古くは『Dear Esther』や、近年だと『返校』でもやったのですが、まずは何よりこれはお手紙でもメモでも散文でもなく、“詩である”ことをわかるようにする必要があります。そうなると、韻を踏んだり、リフレインを多用したり、読んだときのリズム(五七調)だったりと、文体を整える必要がありますので、原文からできるだけ離れず意味は変えず、というのが前提ですが、その中でワードの順番や言葉を整理・追加、時には変更・削除をしました。

 また作者が四名いますので、それぞれの詩の文体を作る必要がありました。各キャラの性格と書きかたを考慮しながら、特徴をよりユーザーに伝わるように詩を翻訳しなければなりませんでした。イメージとしては、ナツキは何となく少女漫画風、サヨリは何となくポップな感じ、ユリは何となく文学風、モニカは……何でしょうね、“◯◯風”ということではなくて、切実な感じというか……というような区分けをしました。もちろん、もともとファンローカライズが大体そうなっていたので、それを大いに参考にはしております。


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